士幌線と十勝三股駅の思い出

 本日2020年9月24日のNHKBS放送3チャンネルの火野正平の自転車旅番組「こころ旅」で、北海道で1987年3月に廃止された国鉄士幌線の終着駅十勝三股駅を自転車で訪ねるという。

 本稿はその本放送が始まる19時の前に書いている。

 この自分のブログは北海道の鉄道旅の思い出を書き綴ってきたが、士幌線は書いていなかった。

 しかし、テレビで十勝三股駅といわれたときに、さーっとその駅の風景が浮かんで懐かしくなって急遽ブログに追加することにした。

 士幌線は、帯広を起点にほぼ真北に向かう78.3キロのローカル線で終着が石狩岳手前の十勝三股だった。線は構想としてはその先の山を越えて石北本線の上川とつながる予定だったらしい。しかしながら、線として途中の糠平(ぬかびら)までが列車で、その先は代行バスでつながっていた。代行バスが走り出したのは1978年というから、十勝三股駅には廃線になる9年前から列車が来なくなっていた。

 1985年の交通公社(現JTB)時刻表の士幌線のページを示すが、十勝三股駅まで行くバスは日に4本。帯広7時51分発の後が約6時間後の14時4分発で、後者に乗ると十勝三股駅から戻るバスがないので、帯広から日帰りするためには朝6時10分発か7時51分発の列車しか選択の余地のない乗車計画の立てにくい路線だった。

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 乗りに行ったのは一度だけ。1985年11月に会社を休んで、北海道の廃止予定線を回った時に出かけた。

 乗ったのは7時51分発。当時帯広駅は地上駅で、駅改札を出たところの1番線ホームから発車する2両編成のベンガラ(濃い朱)色のディーゼルカー(キハ22)で、7時38分ごろに大勢の高校生を乗せてやってきた。朝の通学列車である。

 その折り返し列車の4人掛けボックス席に平均すると約一人が座って定刻発。

 次の木野を過ぎても人家は結構多く帯広のまちの大きさを感じた。やがてだんだん周囲が畑となり上士幌から先は山の中になる。上士幌で糠平温泉に行くおばあさんの集団が乗ってくる。

 車窓の山々はすっかり冬景色となっている。トンネルを抜け、やがて右手に糠平湖が見えてやや遅れて9時42分糠平着。

 駅前に止まっている代行バスは9時44分発なので、すぐに発車。バスは、いわゆるマイクロバスで自分と運転手を含めて4人だ。途中の温泉前駅から一人おじいさんが乗ってくる。バスは山を登り、湖に沿うように走る。途中はまだ砂利道も残っているが、舗装道路に戻るところあたりから列車の走らない線路と並走するようになる。湖に流れ込むタウシュベツ川に昔の鉄道橋がかかっていてそれが湖の水量が減るとその劣化したコンクリートがローマの遺跡のような趣きで姿を現すので昔から有名な箇所だ。

 10時20分十勝三股駅到着。途中で降りるヒトはいなかった。

 近くにお化け屋敷のような駅舎があった。昔は蒸気機関車が来ていたようで、駅の近くに機関車転換台の丸いコンクリートの浅いプールだけが残っていた。11時5分の折り返しまでその付近の写真をたくさん撮った記憶があるが、すぐに出てこないので今回のブログではご披露できないのが残念である。

 近くにはログハウスのような家が何軒かあるだけでひっそりしている。北側に白く冠雪した石狩岳を含めた大雪山系の山並みが見え、空気が信じられないほど澄んでいるのが驚きだった。

 帰りは貸し切り状態で運転手の横に座り、話し込みながら下るとあっという間で糠平11時37分着。

 帰りの列車は先ほど乗ってきたディーゼルカーで、11時46分発。自分の他には、親子連れ4人が乗っているだけだった。13時ちょうどに帯広に到着。