北海道の鉄道の魅力(第1回)

 2016年3月16日ついに、北海道新幹線が開通した。
 1982年6月に開通した東北新幹線が、約34年かけて北海道につながった。まことに慶賀の至りである。
 一方、同日で1970年代から北海道を走り続けていたキハ40系というディーゼル車両の寿命が尽き、代車が捻出できない事情で、北海道の在来線の列車が何割か減らされるという事態になった。ただし、これは、新幹線開通のニュースと比べてもかなり小さな扱いでしか報道されなかった。
 さらに、この年の8月から9月にかけて上陸した台風で、JR北海道は甚大な被害を被った。本州に上陸しないで北海道を直撃するものまであった。その後速やかに復旧できた箇所もあったが、復旧のめどすら立たない箇所が何箇所も残った。その11月には現状の経営状況では、今後継続して運営を維持できない路線として2015年1月の高潮の被害を受け、長期に不通となっている日高本線も含め10路線13区間の1237.2キロが会社側から示され、会社経営継続の厳しさが、改めて明らかになった年であった。この距離がもし廃止されれば、JR北海道鉄道路線のおよそ半分が失われることになる。
 その報告書を読み、自分にとって新たな問題として一番気になったのは、鉄道設備の老朽化であった。いずれも大正時代に建設されて経年約100年という橋梁やトンネルが多数存在することだった。これらは列車を完全に止めない限り簡単には取り換えのきかない土木構造物であり、それをどのように保守しているのかが報告書を見る限り不明で、今後使い続けることに大きな不安を感じた。計画的に会社がこうした老朽化した施設の維持管理のための費用を捻出していなかったのかと唖然とする報告書であった。列車の運行を完全に一時停止させ、しっかり作り直すような工事をすることの方が正しいような気持ちになる。大きな事故が起きてからではシャレにならない。
 1987年に国鉄が、6つの地域でJRとして分割民営化されて30年が経過し、2016年に、ついに交換する車両不足で、地域のヒトの足としての列車ダイヤがJR北海道で削減されることとなった。一方で、新型のE5系新幹線線車両を導入し、札幌への新幹線延伸工事を継続させながら。。。